ニュージーランドの提携校と接続し、海外からの研修報告会や遠隔授業を実施

海外の大学等と連携した遠隔教育を目的として、テレビ会議システムを導入

苫小牧工業高等専門学校(苫小牧高専)様は、1964年に全国55の国立高専の一つとして設置され、 2004年4月に独立行政法人国立高等専門学校機構が設置する国立高専となりました。中学校を卒業した学生が入学する本科(5年間)と、それに続く専攻科 (2年間)があり、21世紀の日本を担う技術者を育成しています。

苫小牧高専では、学術交流協定を結んでいるニュージーランド・ネーピア市の高等教育機関「EIT(Eastern Institute of Technology)」など、海外の教育機関と連携した遠隔教育を目的として、2007年7月にテレビ会議システムを導入しました。

苫小牧高等専門学校

 文部科学省「大学教育の国際化推進プログラム」に採択

導入を担当された中野渉教授に、今回のシステム導入の経緯を伺いました。

「テレビ会議システムの導入は、本校が文部科学省『平成19年度大学教育の国際化推進プログラム(海外先進教育実践支援)』に採択されたことによって実現しました」

文部科学省プログラムにおける苫小牧高専様の取組み名称は、「実践的テーマによる国際産学連携CEの推進(副題:海外 で仕事ができる技術者に!)」であり、国際性を実践性・創造性とともに育成する教育プログラムの構築を目的としています。プログラムでは、教員等数名を EIT等に派遣し、8月には苫小牧高専からの短期派遣学生に対して、環境問題をテーマとした実践に基づくコミュニケーション教育が行われました。また、 10月からは、専攻科の授業においてEITとの間をテレビ会議システムで結んだ遠隔教育が行われています。

苫小牧高専の遠隔授業風景

「テレビ会議システムは、学生が日本にいながら日常的に海外と接する機会を作ることを目的として導入しました。当初 は、既設のPCベースのWEB会議システムが利用できないかと何回か接続試験を行いましたが、遅延があり、授業での利用には適さないと判断しました。そこ で、技術に詳しい先生に相談して、テレビ会議システム専用機を導入することにしました」(中野先生)

苫小牧高専様からVTVに問い合せをいただき、プロジェクトの進行に合わせて7月に内蔵多地点機能を有したテレビ会議端末をご導入いただきました。

「8月に行われた派遣学生の教育プログラムでは、システムの接続試験を兼ねて 、テレビ会議を通じたEITから本校への派遣学生研修報告会を実施することができました。
この成功を受けて、プロジェクトの大きな目的のひとつである専攻科での遠隔教育を開始したわけです。この事業は澤田副校長と協力し進めています」(中野先生)

 
苫小牧高専 遠隔教育事例

テレビ会議システムを活用してニュージーランドとの間での遠隔授業を開始

10月から、テレビ会議システムを活用して、EITと苫小牧高専を結ぶ遠隔授業が専攻科で開始されました。石川准教授の担当である「応用英語II」と、小野准教授の担当である「異文化コミュニケーション」の合同授業として、6回を1シリーズとして行われ、EIT側のコーディネート・司会は、国際化推進プロジェクトでEITに海外派遣中の松田准教授(文系総合学科)が務められています。

取材に伺った日は、ちょうど1シリーズ目の第5回目の授業が実施されていました。
苫小牧高専様では司会進行役の小野先生と石川先生が中心となり、学生が数人ずつのグループを構成して、「漢字」をテーマとしたプレゼンテーションを行っていました。
たとえばカボチャの写真を示し、「これはPumpkinである」と英語で説明したあと「南瓜」の漢字を示します。同様の手順でスイカの漢字「西瓜」を披露し、両者の漢字の違いは「南」と「西」であると解説するなど、工夫をこらした英語でのプレゼンテーションが行われていました。

なお、授業の前半では、カメラの前に写真や文字を記載した紙を掲げて説明していましたが、後半ではPCを接続したXGA送受信も行われました。

石川先生と小野先生に、テレビ会議システムによる遠隔授業について伺いました。

「私自身、大学院生の時に遠隔授業の講義に出席したり、TAとして補助業務に携わったりして、テレビ会議システムに触れる機会はあったのですが、現在のシステムは品質が格段に向上していて驚きました。
今回の交流授業では、学生自ら英語を駆使してプレゼンテーションするということもあり、初回は教室全体に緊張感が漂っていました。しかしいまでは学生もこ の環境に慣れ、プレゼンテーションにも工夫を凝らすようになっています。テレビ会議システムの利点は、彼らをカメラの外からサポートできることですね」 (小野先生)

「相手の顔を見ながら会話できる環境の中で、言葉だけで伝えられなければボディランゲージを使うなど、学生たちが“いかに 伝えるか”を考えるようになったと思います。また、今日の授業の中で、辞書に乗っていた漢字を説明し、それに対してEITの台湾人学生が“実はその漢字は 台湾でも使われていない”とコメントしてくれたシーンがありましたが、あのような体験は机上の勉強では無理ですね」(石川先生)

プレゼンテーションを行った学生の皆さんにも、テレビ会議システムの印象を伺ったところ、「思っていたよりもスムーズに会話ができる」「直接コミュニケーションを取ることで、英語の力がまだまだ足りないと実感した」「楽しい」などのコメントをいただきました。

 

日本にいながら海外の人々とコミュニケーションが取れる。市内の小中学校への展開も

最後に、テレビ会議システムに関する今後の展開予定や、製品への要望などについてお伺いしました。

「日本にいながら、海外の人々とコミュニケーションできる体験は貴重です。本校の本科・専攻科の一般科目や専門科目を 含め、他の科目でも活用していきたいと考えています。また、たとえば、本校システムの多地点同時接続機能を活用して、市内の小中学校と海外の遠隔教育の橋 渡しも考えられますね。本校内外を含めて、幅広く活用していきたいと考えています」(中野先生)

「テレビ会議システムの操作そのものは難しくないのですが、あと数センチだけ右に動かしたいなど、カメラアングルの微 調整が少々面倒です。今シーズンの授業は教員2名体制でしたので特別な問題は生じませんでしたが、1名で担当するようになった場合には、学生のサポートを しながらシステムの微調整まで行うのは大変だと思います。あと一歩、操作性を改善してもらえると嬉しいですね」(小野先生)

「システム一式を移動できるようにしているため、カメラをモニターの下に設置しています。学生は話をしながら相手が映っているモニターを見てしまうので、多少視線のズレが生じているようです。今後、その点を改善していきたいと思っています」(石川先生)